「くみいとや綺羅」の屋号で出展している吉良学さんと奥様の孝子さん。
工房におじゃますると、いとも不思議な光景に目を奪われました。
Q: これは織り機ですか?
「はい、ヨーロッパの織り機で、もともとレースなど
を作っていたのです。
それを少し改造して使っています。」
Q: 出展者インフォメーションに「組み織」と
掲載されていますが、組み織について、教えて
いただけますか? 織物は基本、縦糸に横糸を
走らせて作られますよね。
「そうです。しかしこの織機は縦と横が同時に動いて
糸を組んでいますので、『くみいと・組み織』と
呼んでいるんです。」
Q: この織り方はいつごろから始まったのですか?
「機織り機としては65年前くらいからですね。」
Q: そうですか。吉良さんは最初から織物の
お仕事をしていたのですか?
「きっかけは先輩に薦められた西陣織からでした。
最初は事務で入り欠員が出たため補強として始めた
のです。でも、伝統ある西陣織の中で変化をつける
ことはなかなか難しく、もう少し違ったものが出来
ないかと移行してしまいました。」
Q: なるほど、でもこれを作りあげるには
かなりの手間がかかるのではないですか?
「そうですね、他には無い独自の商品作りを目指して
いますから、糸作りから始めています。」
Q: 思った色を出すのもかなり大変なのではありませんか?
「はい。1本の糸を5、6本の糸で組んで作っています。糸は単品で見るのと組んだ後では色が変わって見えてしまう
ので、失敗を重ねてきてやっと仕上がる色を予想することが出来るようになるのですよ。」
Q: だから糸にも表情があるのですね、
また糸によっては伸び縮みも違いますよね。
「はい、糸を知って、初めて出来る形を想像する
こともできるようになります。仮織して、
絵を描いて図案を作り、一つのパンチカードを
作っていきます。
準備期間が全行程の約7、8割かかります。
織るのは結構早いですけどね。」
Q: 織幅は意外と狭い(10㎝ほど)ですね。
「ええ、ですから組み合わせて、合わせ縫いを
しています。」
Q: それもなさるのですか?
「草木染、合わせ縫いの作業は、家内に手伝って
もらっています。」
Q: 本当に吉良さんのこだわりの作品ですね。
吉良さんは何をされている時が一番楽しい時
なのですか?
「新しい作品を作る時ですね。だから手づくり市
に行くようになったんですよ。」
Q: えっ!どうして市へ?
「出展前は百貨店や問屋さんに商品を出していました。しかし、百貨店に一日中いたり、納期までに徹夜で作ったり、
販売のためのオーダーにより商品を変えることに心身とも限界だったようで……市に出てお客さんと話すと、色々と
閃くのです。そこで新しいものを作って、改良し自ら販売するのが一番自分に似合っていると思えたのです。」
Q: ある意味、手づくり市がターニングポイントになれたのは嬉しいです。直にお客様の声を聞くことが
出来るのは、大切な事ですものね。ところで、吉良さんの夢って何ですか?
「今はっきりと掴めていませんが、作家協会の人達と集まり、話すことで刺激しあいながら作品づくりをすることが
夢ですね。」
「先頭を走るから儲からないが、変化を生みだしながら、私は私にしか出来ないものをつくる。」
ちょっぴり奥様に申し訳なさそうに、
そう付け加えられた吉良さん。
「まだまだこれから!!」
そんな意気込みも同時に感じさせて
くれました。
独自のスタイルを追い続ける
「くみいとや綺羅」さん。
手づくり市へおいでになったら、
是非のぞいて、
その変化をお楽しみ下さい。
「くみいとや綺羅」 出展者インフォメーションページはこちらから >