おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.92「Le Bac a sable(ルバカサブル) 」

ビンセント氏の作るパンは、幸せのパン。真っ直ぐに見つめる瞳には、14歳の時自転車で世界を回ると決意して学校を辞め、その準備のためにパン屋で働き始めるという自分の道を突き進んできた決意と誇りが見えてくる。長年、手づくり市でフランスパンの代表的な店舗として出展を続けていってくださっている「ルバカサブル」がおじゃましますに登場です。

Q. ラミュデュパンからルバカサブルに移って
どれくらいになりますか?

「6年前です。最初は両方に通っていましたが、今はルバカサブルだけです。」

Q. ルバカサブルのお店の名前の意味はなんですか?

「砂場という意味です。イメージ的には公園に砂場があると、みんなが遊びに集まってくる。なので、遊びに集まる場所でありたいということとバカと言うことばが入っているのでいいと思ったのです。(笑)」

Q. そもそもビンセントさんは、なぜフランスから日本に来て京都にすむようになったのですか?

「きっかけは、自転車で世界を周っていて日本にたどり着いた時、お金がなくなって、働き口を探していた時に見つけた仕事が京都の高島屋での仕事でした。1986年のことです。神戸のビゴさん(昨年他界されたフィリップ・ビゴさん)に出会い紹介してもらったのが、当時高島屋の地下にあったパイ専門の店。そこでタルトを作り始め、半年間働きました。その後、自転車の旅に出てお金がなくなるとビゴさん通じて仕事をもらいに日本に来ていました。89年の末に自転車生活を辞め、日本に来て自分の会社を設立しました。日本を選んだのは暮らしやすかったこと。自転車旅行で無茶しても、日本で体調を戻すという生活を続けていたことが理由です。」

Q. いつから、パン職人になったのですか。パン職人になったのはなぜ?

「14歳の時、フランスいた時に、世界自転車で周る旅をしたかった。それにはお金が必要なので、学校など行かないで働こうと決めました。最初に見つけた仕事がパン屋さん、パン屋で夜働いて、月の3週間は練り込みなどの仕事をし、残りの1週間は県のパン専門学校に通いました。パンの専門学校の先生によくしてもらい自分にとってはお父さんのような存在でした。17歳から自転車での世界一周を始めました。その時にパン屋を見て回りました。今までに70カ国くらいは廻ったと思います。」

 

Q. 日本のパンとフランスのパンとの違いはありますか?

「日本はフワフワ、モチモチの柔らかいパンが売れています。フランスではハード系が主流。僕もこれで育ったのでハード系が好き。ハード系は日本では売れないと言われても、作りたい売りたいパンをずっと作ってきています。そのパンを好きになってくれたお客さんが今も買いに来てくれています。」

Q. ビンセントさんにとってパンはどんな存在ですか?

「作っている時は楽しい。生地を作っている時などは一人なので毎回、自分自身と対話しているような感じです。パンは技術で味は決まると考えています。同じ場所、同じレシピ、同じ条件で作ったとしても、その人の技術と性格が出てくるものです。いい材料というのもあるけれど、それは美味しいパンを作ることの全体の10%ほどで、90%は技術(職人の性格を含めての)だと思います。」

Q. ビンセントさんのパンへのこだわりや
お勧めのパンはどれですか?

「7時間発酵することなど基本的なものはフランスで習ったものをベースに自分で考えていつも美味しくなるようにアレンジを加えていっています。今は作っていないですが、自分で作った天然酵母でのパンが一番ですね。人気のイチジクのパンもオススメ。みんなが美味しいと喜んでくれるのが嬉しくて、作る時の楽しさを一番大切にしています。いつも新しいパンを考えています。その時の季節、その時の気持ちで一番美味しいパンを作ることを基本にしています。」

Q. パン職人以外での活動されていることはありますか?

「50歳になってから、自分のやりたいことを始めています。野菜作りやランプ作りなど。フランス学校の理事長を4年やったりもしています。」

Q. これからしたいことはありますか?

「お金を貯めて山を買い、そこに登り窯を作りたいし、パンの釜も作りたい。そこで自分の学んできた色んなことを教えていきたいと考えています。」

人気のクロワッサンは、バターしか使わない。特別なことはしない。バターが品薄になったらクロワッサンは作らない。味のためにはとことんこだわる。焼きたてだから美味しいと評判なんじゃないかな。と謙遜されていましたが、やはり、人が時間をかけて作っているものは、その人でしか出せない味があるのだと思いました。
手づくり市で見かける外国人のスタッフは、人づてで自然と集まってきてくれるそうです。フランス人の親分とも呼ばれているビンセントさん。手づくり市には20年近く出展していただいていますが、これからも末長くお願いします。

掲載日2019.11.13

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