おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.38「貴仙窯」

 

 今回は「貴仙窯」の山本貴之さんの工房におじゃましました。山本さんと言えば、
 この方が居る周囲には必ず笑顔がこぼれているという楽しくも不思議な方です。

 手づくり市でも、
 ご多聞に漏れず市の雰囲気を明るくするムードメカーとして活躍されているそうです。
「なぜ、そうなるのか??」
 この素朴な疑問のヒントになればと思いお話を伺いました。

Q: 屋号を貴仙窯と名付けられたのは?

「貴は僕の名からで、
 仙は母方の祖父が4代目で引き継いだ
 入江道仙の陶器屋の名前からとり、貴仙窯としました。」

Q: 山本さんは若いころから
 陶器に興味をお持ちだったのですか?

「いえ、全くないです!
 母方の叔父も、どちらかと言うとあまりやりたくは
 なかったようでしたが、継ぐ人もなく何時も傍で
 作業を見ていた私に『おい、やるか?』と声を
 かけてきたので『ほな、やろか!』と言う
 感じで引き受けました。」

Q: えっ、そうなのですか。

「物を作りたいとは思っていたので、
 どこか専門学校に行こうとは考えていましたが、
 特別に陶器を作りたいとは思っていませんでしたよ。(笑)
 専門学校を出たら弟子入りをして、それから30年。
 この世界しかわかりませんが、
 作っているうちに面白くはなりました。」

Q: 山本さんが作られているのは
 何焼きになるのですか?

「京焼きですね。
 焼きの名前は作られている場所の
 問屋さんで決められるのです。」

Q: では、土とかではないのですね。

「そうです、京都の問屋さんが
 ラベルを貼るから京焼きになるのです。」

Q: 手づくり市に出展されるきっかけは?

「そう、もう15年になります。
 問屋仕事をすると予備の枚数を作るのですね、
 種類ごとに作るのでどんどん作ると在庫の数も増えて、
 それを自分で売ろうと市に出展を決めました。
 売り始めるとお客さんの顔が見えるので
 楽しくなったんです。」

Q: 山本さんが作られる陶器の特徴は?

「軽さと色ですね。
 ろくろでひきますから、薄く独自のラインを出しています。
 色も先生が展覧会に出すときだけの色合いを3年間ほど見て覚え、それから
 自分のオリジナルの色を出す工夫をしてきました。」

Q: ろくろで引かれるから軽くなるのですね。

「ええ、30年ほどひいています。(笑)」

Q: 得意とされる食器のジャンルは?

「ジャンルと言うより、とにかく毎日使ってもらうための物を作っています。
 問屋仕事をしていましたから、重ねやすい、仕舞いやすい生活に寄り添える
 器を考え作っています。」

Q: 山本さんは何をしている時が一番楽しいですか?

「ろくろの前に座っている時ですかね。(笑)」

Q: 指が綺麗なのですね。

「でも、ろくろを引くから石に削られて
 指紋が段々なくなっていきますよ。ろくろは
 指先の感覚がとても大切だから、指は命ですね。」

Q: 陶芸家として人間国宝を目指さないのですか。

「人間国宝にはなれませんよ。(笑)
 それはまた別の道を選ばなければなりませんからね。」

Q: 夢は何ですか?

「人間国宝になることより、私の作った作品が
 各町内に一つあることが夢ですね。
 そしてそれが毎日使われることです。」

Q: 最後になりますが、市でお見かけするとき、
 山本さんは他の出展者さんと楽しそうに
 仲良くされているのですが、
 何か方法があれば教えて下さい。

「喋ることが好きで楽しいのです。(笑)
 自分の出展準備が終われば、
 人を手伝うことは苦にならないですし。
 人も自分も楽しくすることができれば良いんじゃないですか。(笑)」

「この道35年、これしか出来ないし他は知らない、わからない。」
 山本さんが何度かおっしゃった言葉が残ります。
 身体はもうボロボロだそうですが、
 大好きなろくろの前からは当分離れることはないと思います。

職人気質なのですが、話をすると明るく陽気な方でした。
市で陶器に触れながら気軽にお尋ねください。

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