おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.22「萬さんの手作りおかき」

今回は、「萬さんの手づくりおかき」で出展されている大藪萬司さんです。

工房に到着すると、
萬さんはもうおかきを焼いていました。
夏は水分補給を怠ると熱中症にもなるという
炭火の熱さと、あたかも戦っているかのように
手を動かし続けながら、
インタビューは始まりました。

Q: これは炭火をお使いになっているのですか?

「そうです、うちは炭火を使って焼いています。
機械でガスを使いながら焼いているところも
ありますよ。
温度も一定だから焼きむらが少なく、
きれいに焼けますからね。
でもうちで作る素焼きや鬼棒という堅いおかきは
機械では出来にくいようですよ。」

Q: どうして?

「炭火ならではの火力が必要ですからね。
しかし気を抜いたらすぐに焦がしてしまい
商品にはなりません。
ですから、こうして常に動かすことが
必要だったりするのです。」

Q: 大変な作業ですね。

「最初のころ、百万遍さんでよく
買っていただいていたお客さんに
『焦げはひとつ入っていたら、
みんな入っているのと一緒や』と叱られ、
以来ずっと心がけてきました。」

Q: 炭の種類へのこだわりは?

「備長炭なども試しましたが、
種類にはこだわらないです。
うちのおかきは、滋賀の羽二重餅と、
広島の溜り醤油と炭火がこだわりなのです。」

Q: こうして常に手を動かしているのも、
手焼きならではのことなのですね。

「手焼きをしていると月に4回売りに出られたら
良い方です。
自然乾燥、焼きの繰返しで元旦しか休めない。
まるで手焼きのために追いかけっこを
しているようです。(笑)」

Q: やはり乾燥させる方法での違いはあるのですか?

「自然乾燥させたものは、微妙に水分が残っていて
焼いていて割れにくいですが、風を送り乾燥させる
と水分がなくなり割れやすくなります。」

Q: 「手間、掛かりますよねぇ。
この方法で作ると1日でどれ位つくれますか?

「1日100袋が限界ですね。
夏じゃ暑過ぎてそれも無理ですけど(笑)」

 

Q: 萬さんはおかきをつくり始めてどの位に
なるのですか?

「えぇ~と15年位かな。」

Q: それまでは何を?

「卒業して、最初の3年はおかき作りをし、その後30年は瓦の工事をしてました。」

Q: 瓦と言うと屋根の?

「そうです、お寺などの屋根を専門に(笑)」

Q: 「30年されていてどうして?奥さんは辞める時に何か言わなかったのですか?」

(大藪佳代子さん / 奥様)
「屋根から降りる時に『へぇ~』、
おかき焼き始める時も『へぇ~』とだけ。」

「何かしないことにはいかんし」

(大藪佳代子さん)
「あっ、それから『何をしてもいいから食べさせてね』
とだけは言いました(笑)」

Q: 「30年間のブランクがありながらも、
おかきは焼けたのですか?」

「すんなり焼けた!
折角覚えたものはよう忘れませんな(笑)」

Q: 「根気のいる作業ですが萬さんは
気が長い方なのですか?」

「いえ、ちっとも。短いほうです。(笑)」

Q: 奥さんは最初から売り手、旦那さんは
作り手で良いコンビになっていますね。」

(大藪佳代子さん)
「そうですか(笑)」

「うちのお客さんは一度買われて、味を知ってもらえると、
後はお身内や知人の方に送られるお客さんが多いのです。
だからこそ、うちは信頼された今の味を変えることは
絶対に出来ません。
始めた当初は色々なとこへ売りに行きましたが
全く売れませんでした。
これで良いのかと模索している時に、
百万遍さんの手づくり市を紹介され
すぐに出店しました。

そして売っているうちに、わかったんです。
うちのおかきはこだわりをもったお客さんが
来るとこで売らなくては駄目だと。
そして作る方もこだわらなくてはいけない、
これが大切なことだとしみじみ思いました。」

高い屋根に登れなくなり、今後をどうするかと
思ったときに頭に浮かんだ
” おかき ”
30年のブランクがあったとしても、
なんとかなると思ったそうです。

人に使われる仕事よりも
自分の裁量で出来る仕事がストレスもなく好き、
たとえ失敗しても自分の責任で良いのだから…
とも考えていたそうです。

萬さんのおかきの味は、昔のお正月に焼いて食べた手焼きのおかきを思い出す味でした。

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