おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.11「京都 佳耀工房」

京都佳耀工房さんが作るガラスの「醤油さし」・「アクセサリー」は、
他とは違う何かを感じさせてくれます。
その秘密を知りたく、工房におじゃますると、
そこには屈託のない笑顔で金子庫三さんとお父さんの金子恵一さんが出迎えてくれました。

Q: 今回、工房ずーさんのご紹介で伺ったのですが、
ずーさんとの出会は?

(庫三さん)「東京や大阪の、意外と大きなイベントで
 一緒になることが多くて、お話するようになりました。
 いつも私は、ディスプレイに悩んでいたので、
 色々とアドバイスを頂き、そしてイベント情報を
 交換していました。」

Q: そうですか、息子さんは45歳から新分野に
 挑戦し始められたとのことですが、
 お父さまはガラス加工は長いのですか?

(恵一さん)「うちは元々、理化学ガラスの実験器具等から始まり、石英ガラスの加工や、
 機械に組み込まれるガラス部品加工も行っていたのです。私が二代目で、初代から83年の歴史です。」

Q: それがまた、どんな経緯でガラス作品を
作ることになったのですか?

(恵一さん)「時代の流れなのですかね、息子が
 ガラスクラフトを作る仕事をすると言ってきたので、
 手伝おうかと…。
 ガラス加工は不安定な業界ですから、
 継がせたいとは考えなかったのですが、まあ根柢の
 ガラス技術は何をつくろうと同じですから今年で
 丁度60年目、それを生かせればとの思いですね(笑)」

(庫三さん)「僕はサラリーマンをしていて、ガラスは
 趣味でしかありませんでした。あまり長く座っている
 のも苦手、又、受注で加工することも余りに受け身で
 僕には向いていなかったんです。
 ですから、自分で考え作り出したものを売ろうと。
 継ぐ感覚よりも起業する感じであって、自分で市場を
 開拓していく思いで『手づくり市』などに出展を
 始めたのです。そして、作品作りのガラス技術は
 父に教わろうと 考えていました。」

Q: じゃ、親子の気持ちが一つになり始めたのですね。

(庫三さん)
「ええ、職人さんは同じものを作り続け技術を磨きますけど、
 クラフトは常に異なる作品を考え、作り続けなければ
 なりません。
 それも、僕に向いている作業でした。
 とは言っても、45歳からの新たな分野への開拓ですから
 覚悟はいりましたね。
 ですから、決意表明の一端として、全国のクラフト市に
 出向いて作品を売り歩くと同時に、得意先の開拓も
 していこうと決めたのです。これが、
 ホームページに載っている『全国制覇』なのです。」

Q: お父さんの職人さんとしての長い技術に支えられ、息子さんが創作してゆく。
 佳耀工房さんのガラスクラフトは、親子二人三脚の作品なのですね。
 この中で生まれた作品の特徴はなんですか?

(恵一さん)「それはですね、素材に耐熱ガラスや
 石英ガラスを使用していることです。
耐熱ガラスは、
 熱に強いので熱湯使用が可能であり、従来の
 ガラス製品より使用範囲が広く、
 普通のガラス(吹きガラス製品)よりも軽くて
 透明感があり、その上、色ガラスを使い柄入れも可能です。
石英ガラスは、
 加工には、より高温が要求されますが、別名水晶ガラス
 とも呼ばれ、輝きがあるのでアクセサリー等には
 最適の素材です。
 これらはバーナーワークで製作しますので、
 ねじりを入れたり細かい細工が可能なのです。」

(庫三さん)「ただ、螺旋などは父が作ると、
 見事なくらい綺麗に巻かれていきますが、ぼくの様に遊びがありません。
 父は同じものを、違いがわからないくらいのレベルで何個も作れますが、
 僕の場合、この環境で贅沢と思いますが、同じ感じのするものは必要ないんです。
 これが父と私の大きな違いなのです、そしてこれを父も理解してくれているのです。
 この他に、なかなか手に入りにくい特殊なガラスも使っているんですよ。」

金子さん親子はバーナーワーク作業を見せてくれながら、書ききれないほど丁寧に
ガラス素材の種類についての説明をしてくれました。
姿を変えるガラス加工を見ていると、その火の中に60年の熟練した手づくり技術が、
息づいていることが感じられました。

Q: 手づくり市に出展されるきっかけは何でした?

(庫三さん)
「応募していて、最初に決まったからですね(笑)」

Q: では、手づくり市でのエピソードがあれば
 お聞かせ下さい。

「エピソードと言うか、一番感動したのが、
 市で一度買ってくれたお客さんが、結婚することに
 なったので、僕に引き出物を作ってほしいと
 注文されたことですね。
 それは嬉しかったな!!
 お客さんに喜ばれる作品を提供できた実感と同時に、
 僕の作品は大量注文を受けることもできる、
 これが大きな自信になりました。」

Q: 手づくり市には意外と多くのバイヤーさんが
 来ていて、思わぬ受注を受けたという話は
 聞きましたけど、これは素敵なお話ですね。

「最初1年はなかなか売れず、男が作るアクセサリーは
 ダメかと思い、出展されている女性に尋ねて
 改良したり、お客さんのリクエストに答えることを
 目標にして作ったりで試行錯誤でした。
 結局は、お客さんとの対面販売が僕と作品を育てて
 くれたんですよ。
 2年目からは
 リピートしてもらえるようになって、人気商品が
 もてるようにもなりました。
 結構つらい時もあったので、それも嬉しくて(笑)」

Q: 最後に金子さんの夢を聞かせてください。

(庫三さん)「夢はショツトバーを開きたいのです。」

Q: えっ、それはまたなぜですか?

「工房の裏側に、グラス作りの体験教室を開いてですね
 そこでオリジナルグラスを作ってもらうんです。
 でね、そのグラスをお店にキープしていただいて、
 飲みに来た時にマイグラスで飲んでもらう
 と言うことですね。」

へぇ!それは面白いですね、意外な夢でしたね。

守り続けることよりも挑戦することを選んだ金子さん親子。
明日はどこのクラフト市なのか、全国を廻っていますから出会った時は、
ぜひ、ガラスクラフトを手に乗せてみてください。

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