おじゃまします!手づくり市出展者さま Vol.3「アウラ・ロコ」

Q: 前回登場のカシーロさんと、アウラ・ロコの富永さん
とは、ともにドストエフスキーが好きで文学やアートの話に
花が咲いて以来とても仲良くなったとのこと。

富永さんは、高校時代から独学で絵画と彫金を始め、
東京造形大学に進学。 偶然にも、進学先の東京造形大学
環境計画(インテリア)科は、
なんと「手づくり市」主催者臼井氏の100%後輩でした。

お会いしたのは、京都・西陣にある富永さんのアトリエ。
元染め工場の広いスペース「アトリエ家ー(イエー)」。
現在、同年代(30歳前後)の作家仲間5人でシェアされているそうです。
年に1回「オープンスタジオ」を開催して地域の人達や美術関係者を招いたり、来日中の海外の作家との交流の場にしたり。年末年始は、餅つき大会を開催して日本全国から友人知人のアーティスト達が大勢集うそうです。
シェアしている5人のアトリエ使用の優先順位は、展覧会などの締切日が迫っている人から。
何ともアットホームで素敵な空間です。

Q: 富永さんの作品に、着用出来るオブジェとありますが、
そのコンセプトは?

現在、僕は絵を描いて展覧会を開催し、高校時代から独学で学んだ彫金でシルバーもつくっています。
ですから、手づくり市で販売している作品は、僕にとっては
単なるアクセサリーではなく、
「美術作家・富永大士」のアート活動の一環として
という意味合いが強いです。
アートを前提に“着用できるオブジェ”をつくっているんです。

Q: なるほど、どこかで売っているパーツを
組み合わせ売っているのではなく、自分の気持ち
を入れたアート、立体作品を販売している
ということですね。

はい。身につけた人自身がアート空間になる、持ち運びできる
アート作品を最初に発想していました。 アートが作者自身も
意図できない形で、どんどん拡散していくイメージです。
今年からは“着用できる絵画”も制作・販売をはじめました。。

Q: では、重複してしまうかもしれませんが、
作品や素材に対してのこだわりなどを
聞かせていただけますか?

最近、有難いことに作品制作の依頼が多くなってきて、改めて
思うのですが、作品をある程度量産することも出来ます。
でも、そうなると結局マネージメント(管理)の仕事ばかりに
なってしまって、忙しくなればなるほど「手」が離れてしまうんです。
自分の「手」でちゃんとつくって、できればお客さんとコミュニケート
して直に販売したい、わがままかもしれませんが、
それが作品へのこだわりかもしれません。

Q: この糸などはどこから?

糸も高校生のときから染色の授業を受けていて、
自分でつくっていました。ですが、さすがに間に合わなくなり、
たまたま高校の同級生が勤めている会社が面白い糸をつくってらしたので、
アウラ・ロコ オリジナルで特別につくってもらっています。

Q: だからこの糸にも手づくり感というか、
紡いだ感じがしますよね。

シルクの糸なので、丈夫で発色もキレイですし、
肌触りがよく、素朴な温かみがあますよね。

Q: これだけご自分で出来てしまうと、
『富永さんは何をしている人ですか?』と
質問されたらなんと答えているのですか?

大きくとらえて言うと、「美術作家」だと思います。
ずっと絵を描いていますが、大学のときにあえて絵画科へ
行かなかったのが良かったのか、 アカデミックではない
色々な発想が出来るようになりましたね。
例えば、いま子どもたちに造形教室で週に1回教えている
のですが、絵だけでなく立体作品も教えています

Q: なるほど、それで色んな引き出しを持てる
ようになったのですね。では、その中で、
行き詰まることなどはなかったですか?

今は全くないですが、20歳から5年間くらい暗黒時代が
ありました(笑)。 「絵描きです」と言っても、絵をほとんど
描いてなかったんです。描けなかったんですよ。妙な焦燥感の中、
読書とアイディアスケッチばかりしていました。

Q: 何か今の若い人たちに、そんな時のアドバイスは
ありませんか?

アドバイスにならないかも知れませんが、20代に入るまでに
自分の集めた情報の中だけで、いきなりアーティストとか、
作家を目指すと、 途中で破綻すると思います。憧れで描いた夢と、
現実の自分とのギャップは、焦燥と挫折だけを生んでいくと思います。
まずは、当たり前ですが、個々人が抱えている課題やテーマを、丁寧に仕上げていかないといけません。
地道な積み重ねの大切さを知ることが一番だと思います。 … 僕は一気に飛ぼうとして、無理をしすぎて、
奥さんと離婚の話にまでなったことがありました(笑)。
ちょうどその頃、奥さんに「手づくり市」のことを教えてもらって、一緒にみに行きました。
もともとシルバー彫金もしていましたし、 自分の出来る事をもう一度見直して、最初は生活費の足しになればと思い、
参加しました。 まさしく、ターニーングポイントになったのがこの時期です。

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